ぽころこのユメ日記  ++叛逆の章++

このブログは健康で豊かな暮らしを夢見て日々奮闘する、一人のアラサー男の成長記録です。

【怪談録 vol.001】〜憑いてくる音色〜

これは私が岡山県のある大学に通っていた時に体験した実話です。

 

その日は、翌日にプログラミングの課題提出を控えており、いつものように前日に切羽詰まって大学のパソコン室でパソコンと向かい合っていました。

 

私の学科はそんな連中の集まりで、放課後にほとんどの学生がパソコン室に集結していました。和気藹々とやっていましたが、根っからの覚醒待ち(追い込まれないとヤル気が出ない)体質のせいか他の学生が次々と課題を終わらせて帰る中、私は全然課題が進んでいませんでした。

 

仲の良い友達と2人だけになり、ついにはその友達が「お疲れ!今日バイトだからお先に!」と言い残し帰ってしまいました。

時計を見ると既に21時を回っていました。

私は「明日の朝早く来てやるか!」と友達の後を追うようにパソコンをシャットダウンし帰る準備を始めました。

実を言うと、私は前からこのパソコン室があまり好きではありませんでした。

人がいない場所の電気は自動で消える仕様になっており、暗い部屋の片隅でつけっぱなしのPC画面が切り替わったり、電気がついたり消えたりすることがあったからです。

そんな部屋に1人になった事で途端に帰りたい気持ちになってしまいました。

 

そそくさと荷物をまとめパソコン室を出ると長い廊下の先は真っ暗。さらに火災報知器の赤ランプがぼんやりと光っていました。パソコン室の重たいドアを閉めるとさらなる暗闇に包まれていきました。

 

怖くなった私は友達に追いつこうと小走りで廊下駆け抜けます。するとガラス張りの壁越しに友達が駐輪場から自転車で駆けていく様子が見えました。

 

追い付けないことが確定しましたが、友達の姿が見えた事で少し気が楽になった私は、これから人通りのない暗い道を1人で帰るのか。。と真っ暗な廊下でため息をつきました。その時、どこからかピアノの音色が聞こえてきました。音楽には詳しくないのですが、恐らくクラシック音楽だったかと思います。

 

「あっ、まだ誰か居たんだ」と思った途端、怖さが”ふっ”と消えていくのが自分でもわかりました。私の大学のパソコン室は何故か保健福祉学科の棟にあったので、ピアノ室も近くにあったので、女子かな?どんな子が引いているんだろうとすっかりそっちが気になってしまいました。

 

その音色に引き寄せられるようにピアノ室の方へ歩いていくと、ピアノ室のドアから光が漏れていました。「ちょっとだけ」と思いドアを少し開け、隙間から中を覗くと、脱いであるスニーカーとピアノを弾くショートヘアーの女性の後ろ姿が見えました。

 

今思えば真っ暗な廊下から知らない男が部屋を覗き込んでるなんて自分が一番怖いヤツだったなと思います。

 

スポーティーな女性は私のタイプだった為、何とか顔が見えないかなという思いが募ってきてしまい、悪戯心からドアを軽くノックして廊下の曲がり角に身を潜め、その子が出てくるのを待っていました。

ノックに気が付いたのか演奏が"ピタッ"と止み、ドアが"キィー"と音を立てて開くのが分かりました。ただ通りがかったように出て行くつもりで、息を潜めタイミングを見計らっていた時、”コツ”、"コツ"、”コツ”というヒールの音が自分隠れている方向と反対方向に向かっていくのが分かりました。「あぁ~、反対方向に行っちゃったよ」と思ったと同時に気づきました。

何故、ヒールの音がするのだろう

その瞬間、今までの好奇心はまた恐怖へと姿を変え、私の心臓を一気に握りつぶすかのように押し寄せました。

本能的に「ここから逃げないと」と感じた瞬間、自分から遠のいていたはずのヒールの足音が自分の背後から"コツ"コツ"コツ"コツ"とものすごい勢いで迫りってきて、後ろにいる"何か"が低く潰れた声で耳元でこう囁きました。

「もっと近くで聞かせであげる」

私は階段を転げ落ちるように降り、棟のドアをカラダ全体でこじ開け、駐輪場から自転車で一心不乱に家まで帰りました。家に帰った私は恐怖のあまり家の電気という電気を点け、テレビとMDコンポで音楽もかけた状態でしばらく動くことができませんでした。

しばらくすると、見ていたバラエティ番組のおかげか恐怖が徐々に和らいでいき、疲労も相まって眠ってしまいました。

そして寝苦しさを覚え、ふと目を覚ますと、時間は夜中の3時半。

電気もテレビも音楽も付けっ放しだったので、眠りが浅かくて起きたのかと思いながら音楽を止めようとしたがMDコンポは動いてない。テレビで音楽が流れてるのかと思いテレビを消そうとリモコンに手を伸ばした時にやっと気がきました、

テレビから流れていた音楽は、あの"何か"がピアノで弾いていた曲だったことに、、

それから朝まで一睡も出来ず、結局頭が回らなかったがせいか、プログラミングの課題も遅れて提出する事となりました。笑

 

以上が私の体験談でした。

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